Subsections
地球大気における湿潤対流の定式化同様, 大気の乾燥成分と湿潤成分の
分子量の差を密度の式には考慮するが, 熱の式には考慮しないような
系を考える. また気体は理想気体みなせるものとする.
このような系では温位 1#1 が非凝結時の保存量として使える.
3 次元大気の状態を
気温 280#280, 圧力 281#281, 風速 3#3, 密度 16#16 で表現する場合,
一般的な圧縮性流体の方程式系は以下のようになる.
- 運動方程式
-
|
|
282#282 |
(72) |
|
|
283#283 |
(73) |
|
|
284#284 |
(74) |
- 熱力学第一法則
-
- 状態方程式
-
286#286 |
19#19 |
287#287 |
(76) |
288#288 |
19#19 |
289#289 |
(77) |
- 密度の時間発展方程式
-
290#290 |
19#19 |
291#291 |
(78) |
292#292 |
19#19 |
293#293 |
(79) |
294#294 |
19#19 |
295#295 |
(80) |
296#296 |
19#19 |
297#297 |
(81) |
ここで 298#298 は凝結物も含んだ単位質量の気塊の定圧比熱,
299#299 は非断熱加熱による温度変化率, 9#9 は凝結性気体の比湿,
10#10 は雲水比湿,
300#300 は雨水比湿である.
301#301 は, 凝結成分の数だけ存在する.
131#131, 129#129, 130#130 はそれぞれ
乱流拡散項, 生成消滅項, 落下項を意味する.
以下では, 温位 1#1, エクスナー関数 2#2, 風速 3#3 を予報変数と
する場合の基礎方程式系を導出する.
302#302
となると仮定して
renzoku1 - renzoku4 の和をとると,
が得られる.
但し
304#304 となる
ことを用いた.
renzoku1 - renzoku4 及び renzoku5 より
305#305 |
19#19 |
306#306 |
|
|
19#19 |
307#307 |
|
|
19#19 |
308#308 |
(83) |
309#309 |
19#19 |
310#310 |
|
|
19#19 |
311#311 |
|
|
|
312#312 |
|
|
19#19 |
313#313 |
(84) |
314#314 |
19#19 |
315#315 |
|
|
19#19 |
316#316 |
|
|
|
317#317 |
|
|
19#19 |
318#318 |
(85) |
319#319 |
19#19 |
320#320 |
|
|
19#19 |
321#321 |
|
|
|
322#322 |
|
|
19#19 |
323#323 |
|
324#324 |
|
|
(86) |
sphm2 - sphm5 を比湿で表現すると,
325#325 |
19#19 |
326#326 |
(87) |
327#327 |
19#19 |
328#328 |
(88) |
329#329 |
19#19 |
330#330 |
(89) |
331#331 |
19#19 |
332#332 |
(90) |
となる.
但し,
333#333 の関係が成り立つので,
28#28 については時間発展方程式を解かずに, 診断的に求めることとする.
A.1.3 節では, Satoh(2004) に従い, Clausius-Clapeyron の式, 各カテゴリー
の比エンタルピーと比内部エネルギーの導出, 比内部エネルギーの時間発展方程
式の導出を行なう.
更にそれらの結果を用いて, 熱の式の導出を行なう.
A.1.3 節においては, 雨粒または氷粒の存在を無視する.
凝結性気体と凝結物は相平衡状態にあるとする.
また各気体と凝結物の定圧比熱の温度・圧力依存性を無視する.
凝結性気体は非凝結性気体に比べて圧倒的に多いか, 或いは圧倒的に少ないもの
とする.
各カテゴリーの比エンタルピー, 比内部エネルギー, 比エントロピー, 比容, 化
学ポテンシャルをそれぞれ 334#334, 335#335, 336#336, 337#337, 338#338とする.
また飽和蒸気圧を 339#339 と表すことにする.
相平衡状態が実現されているとき,
340#340 |
19#19 |
341#341 |
(91) |
342#342 |
19#19 |
343#343 |
(92) |
が成り立つ.
Cl-Cl1, Cl-Cl2 の差をとると,
となる.
346#346 及び
347#347 に関する 348#348 近傍での 1 次の Taylor 展開を考えると,
342#342 |
349#349 |
350#350 |
|
342#342 |
349#349 |
351#351 |
(93) |
となる.
Cl-Cl4, Cl-Cl5 を Cl-Cl3 に代入すると,
となる.
ここで
353#353 |
19#19 |
354#354 |
(95) |
355#355 |
19#19 |
356#356 |
(96) |
となることに注意すると,
すなわち
358#358 |
19#19 |
359#359 |
(97) |
となる.
潜熱 360#360 を
361#361 |
53#53 |
362#362 |
(98) |
と定義すると,
358#358 |
19#19 |
363#363 |
(99) |
となる.
ここで 364#364 であることを用い, さらに理想気体の状態方程式を用い
ると,
358#358 |
349#349 |
365#365 |
|
|
19#19 |
366#366 |
(100) |
となり, Clausius-Clapeyron の式が得られる.
定圧比熱の定義
及び Maxwell の関係式
を用いると,
369#369 |
19#19 |
370#370 |
|
|
19#19 |
371#371 |
|
|
19#19 |
372#372 |
|
|
19#19 |
373#373 |
(103) |
となる.
但し 374#374 は圧力の基準値である.
特に理想気体の場合, 状態方程式より
375#375 となるので,
369#369 |
19#19 |
376#376 |
(104) |
となる.
thermodyn4 より理想気体の比熱は圧力に依存しないことが分かる.
エンタルピーに関して
377#377 |
19#19 |
378#378 |
|
|
19#19 |
379#379 |
|
|
19#19 |
380#380 |
(105) |
より
381#381 |
19#19 |
382#382 |
(106) |
383#383 |
19#19 |
384#384 |
(107) |
が成り立つ.
385#385 を温度の基準値とすると, thermodyn1, thermodyn2,
thermodyn6, thermodyn7 より
386#386 |
19#19 |
387#387 |
|
|
19#19 |
388#388 |
|
|
19#19 |
389#389 |
|
|
19#19 |
390#390 |
|
|
19#19 |
391#391 |
|
392#392 |
|
|
(108) |
となる.
特に理想気体の場合, 状態方程式より
393#393 となるので,
386#386 |
19#19 |
394#394 |
(109) |
となる.
以下, 相平衡時における 395#395 と 396#396 の関係式を求める.
395#395 はそれぞれ
397#397 |
19#19 |
398#398 |
(110) |
399#399 |
19#19 |
400#400 |
(111) |
と表される.
thermodyn10, thermodyn11 の差をとると,
401#401 |
19#19 |
402#402 |
(112) |
となる.
thermodyn12 に
403#403 |
19#19 |
404#404 |
(113) |
を用いると,
401#401 |
19#19 |
405#405 |
|
406#406 |
|
|
(114) |
となる.
Cl-Cl7 において 407#407 とし, 339#339 から 281#281 まで積分すると,
408#408 |
19#19 |
409#409 |
(115) |
410#410 |
19#19 |
411#411 |
(116) |
となる.
thermodyn15, thermodyn16 の差をとり,
412#412 となることを用いると,
413#413 |
19#19 |
414#414 |
(117) |
となる.
thermodyn17 を thermodyn14 に代入し, 415#415, 416#416
を消去すると,
401#401 |
19#19 |
417#417 |
|
|
|
418#418 |
|
|
349#349 |
419#419 |
|
|
19#19 |
420#420 |
|
|
19#19 |
421#421 |
|
|
19#19 |
422#422 |
(118) |
が得られる.
さらに相平衡時における 423#423 と 68#68 の関係式を求める.
thermodyn1 に thermodyn9, thermodyn10,
thermodyn13, thermodyn18 を適用すると,
424#424 |
19#19 |
425#425 |
|
|
19#19 |
426#426 |
|
|
19#19 |
427#427 |
|
|
19#19 |
428#428 |
|
|
19#19 |
429#429 |
|
|
19#19 |
430#430 |
|
|
19#19 |
431#431 |
(119) |
が得られる.
特に定圧比熱が温度に依存しない場合, thermodyn19 を 280#280 について
積分することにより,
432#432 |
19#19 |
433#433 |
|
|
19#19 |
434#434 |
(120) |
が得られる.
但し
435#435 |
19#19 |
436#436 |
(121) |
である.
thermodyn9, thermodyn18, thermodyn19,
thermodyn20 を用いて定圧比熱が温度に依存しない場合の比エンタル
ピーを求めると,
437#437 |
19#19 |
438#438 |
|
|
19#19 |
439#439 |
|
|
19#19 |
440#440 |
(122) |
397#397 |
19#19 |
441#441 |
|
|
19#19 |
442#442 |
|
|
19#19 |
443#443 |
|
|
19#19 |
444#444 |
|
|
19#19 |
445#445 |
|
|
19#19 |
446#446 |
(123) |
399#399 |
19#19 |
447#447 |
|
|
19#19 |
448#448 |
|
|
19#19 |
449#449 |
(124) |
となる.
エンタルピーの定義より
450#450 |
19#19 |
451#451 |
(125) |
となる.
従って, 定圧比熱が温度に依存しない場合の比内部エネルギーを求めると,
thermodyn22, thermodyn23, thermodyn24 より
452#452 |
19#19 |
453#453 |
|
|
19#19 |
454#454 |
|
|
19#19 |
455#455 |
(126) |
456#456 |
19#19 |
457#457 |
|
|
19#19 |
458#458 |
|
|
19#19 |
459#459 |
(127) |
460#460 |
19#19 |
461#461 |
|
|
349#349 |
462#462 |
|
|
19#19 |
397#397 |
|
|
19#19 |
463#463 |
(128) |
となる.
Satoh(2004)と Landau and Lifshitz(1987) を参考にして熱の式
theta1 を導出する.
比内部エネルギー 464#464 の時間発展方程式は
と表される.
ここで 466#466, 467#467, 468#468 はそれぞれ放射フラック
ス, 熱拡散フラックス, 消散率であり,
469#469 |
19#19 |
470#470 |
|
|
19#19 |
471#471 |
(130) |
472#472 |
19#19 |
473#473 |
(131) |
である.
474#474, 396#396 はそれぞれ非凝結性気体と凝結性気体の比エンタルピー,
475#475, 476#476 はそれぞれ非凝結性気体と凝結性気体の拡散流
束密度,
477#477 は熱伝導率, 233#233, 478#478 は第一粘性係数, 第二粘性係数である.
479#479 は潜熱 480#480 の定数部分であり,
である.
464#464 は比エンタルピー 482#482 を用いて
と表される.
netu2 を netu1 に代入し, 484#484 について整理すると,
|
|
485#485 |
|
|
19#19 |
486#486 |
|
|
19#19 |
487#487 |
|
|
19#19 |
145#145 |
(134) |
すなわち
となる.
比エンタルピーを各カテゴリーの比エンタルピーの和で表現すると
489#489 |
19#19 |
490#490 |
|
|
19#19 |
491#491 |
(136) |
となる.
netu4 のラグランジュ微分をとると,
492#492 |
19#19 |
493#493 |
|
|
|
494#494 |
|
|
19#19 |
495#495 |
(137) |
となる.
但し
と置いた.
netu3 を netu6 に代入し,
497#497 について整
理すると,
498#498 |
19#19 |
499#499 |
|
|
|
500#500 |
(139) |
雨粒又は氷粒の存在を無視する場合, 比湿の時間発展方程式は
325#325 |
19#19 |
501#501 |
(140) |
327#327 |
19#19 |
502#502 |
(141) |
329#329 |
19#19 |
503#503 |
(142) |
と表される.
504#504, 505#505, 506#506 はそれぞれ
507#507 |
19#19 |
508#508 |
(143) |
509#509 |
19#19 |
510#510 |
(144) |
511#511 |
19#19 |
512#512 |
(145) |
と表されるので, sphm6-A, sphm7-A, sphm8-A は
325#325 |
19#19 |
513#513 |
(146) |
327#327 |
19#19 |
514#514 |
(147) |
329#329 |
19#19 |
515#515 |
(148) |
となる.
sphm6-B, sphm7-B,
sphm8-B を netu8 に代入すると,
498#498 |
19#19 |
499#499 |
|
|
|
516#516 |
|
|
|
517#517 |
(149) |
となる.
475#475, 476#476 に関して
518#518 |
19#19 |
519#519 |
(150) |
520#520 |
19#19 |
521#521 |
(151) |
が成り立つ.
但し 522#522, 523#523, 524#524 はそれぞれ拡散係数, 熱拡散比, barodiffusion 係
数である.
525#525 又は
526#526 の極限において 523#523, 524#524
はゼロに収束することが知られている.
即ち,
520#520 |
349#349 |
527#527 |
(152) |
となる.
netu1-A 及び netu11-1 を用いて, netu9 から
528#528, 475#475, 476#476 を消去すると,
498#498 |
19#19 |
529#529 |
|
|
|
530#530 |
|
|
|
531#531 |
|
|
19#19 |
532#532 |
|
|
|
533#533 |
|
|
|
530#530 |
|
|
|
534#534 |
|
|
19#19 |
535#535 |
|
|
|
536#536 |
|
|
19#19 |
535#535 |
|
|
|
537#537 |
|
|
19#19 |
535#535 |
|
|
|
538#538 |
|
539#539 |
|
|
(153) |
となる.
ここで
540#540 |
19#19 |
541#541 |
(154) |
542#542 |
19#19 |
543#543 |
(155) |
544#544 |
19#19 |
545#545 |
(156) |
546#546 |
19#19 |
547#547 |
(157) |
と置くと,
が得られる.
equations:eqsdry, equations:eqsvapor より
549#549 |
19#19 |
550#550 |
|
|
19#19 |
551#551 |
|
|
19#19 |
552#552 |
(159) |
ここで
553#553 |
53#53 |
554#554 |
(160) |
555#555 |
53#53 |
556#556 |
(161) |
と置くと,
となる.
但し 71#71, 72#72 はそれぞれ非凝結性ガスの気体定数, 凝結性ガスの気体定数
である.
76#76 は気体定数の密度の重みつき平均であり, 本文書では平均
気体定数と呼ぶことにする.
普遍気体定数を 558#558 として,
559#559 |
53#53 |
560#560 |
(163) |
と置く.
但し 84#84, 85#85 はそれぞれ非凝結性ガスの分子量, 凝結性ガスの分子量を表
す.
また
78#78 を平均分子量と呼ぶことにする.
本モデルでは
76#76,
78#78 を一定値とみなし,
以降
75#75,
86#86 と書くことにする.
ここで
を導入すると,
549#549 |
19#19 |
562#562 |
|
|
349#349 |
563#563 |
|
|
19#19 |
564#564 |
|
|
19#19 |
565#565 |
|
|
19#19 |
566#566 |
|
|
19#19 |
567#567 |
(165) |
と近似される.
更に温位
及びエクスナー関数
並びに
を導入すると,
549#549 |
19#19 |
571#571 |
(169) |
となる.
ここで
572#572 |
19#19 |
573#573 |
(170) |
であり, 本文書では
163#163 を平均定圧比熱と呼ぶことにす
る.
67#67, 68#68 はそれぞれ非凝結性ガスの定圧比熱, 凝結性ガスの定圧比
熱を表す.
また本モデルでは
163#163 を一定値とみなし,
574#574 と表すことにする.
Tffにtheta5を代入して 281#281 を消去し, 16#16 について整
理すると,
となる.
theta1 において, 凝結物が気体に比べて十分少なく,
576#576,
577#577 が成り立つとする
と,
578#578 となるので,
と近似される.
平均定圧比熱を定数で近似すると,
となる.
さらに凝結物は全密度に比べて十分小さいとみなすと,
と近似される.
1#1 のラグランジュ微分をとると,
582#582 |
19#19 |
583#583 |
|
|
19#19 |
584#584 |
|
|
19#19 |
585#585 |
(175) |
となる.
但し式変形の途中で
586#586 を用いた.
乱流拡散を考慮すると,
が得られる.
予報変数として温位を用いる際には平均気体定数, 平均定圧比熱があまり大きく
変化することを許容しないことを前提とするので, 計算の適用範囲に制約が加わ
ることに常に注意しなければならない.
theta8, sphm7 において, 放射加熱・散逸加熱・乱流拡散・
雲粒落下を無視すると,
588#588 |
19#19 |
589#589 |
(177) |
590#590 |
19#19 |
591#591 |
(178) |
となる.
ここで
592#592 であると仮定すると
, epot1, epot2 より
となる.
epot3において
と置くと, 256#256 は近似的に保存量となる.
圧力方程式は密度の式と連続の式を組み合わせることで得られる.
Tfg のラグランジュ微分をとると,
595#595 |
19#19 |
596#596 |
|
|
19#19 |
597#597 |
|
|
|
598#598 |
|
|
|
599#599 |
|
|
19#19 |
600#600 |
|
|
|
601#601 |
|
|
19#19 |
602#602 |
|
|
|
603#603 |
(181) |
となる.
ここで
51#51 は音速であり,
である.
pressure:theta-pi:drho に renzoku5 を適用すると,
605#605 |
19#19 |
606#606 |
|
|
|
607#607 |
|
|
19#19 |
608#608 |
|
|
|
609#609 |
(183) |
となり, 圧力方程式が得られる.
運動方程式の圧力勾配は, 温位とエクスナー関数を用いることで得られる.
theta5, Tff より
610#610 |
19#19 |
611#611 |
|
|
19#19 |
612#612 |
|
|
19#19 |
613#613 |
|
|
19#19 |
614#614 |
|
となる.
以上より
|
|
615#615 |
(184) |
|
|
616#616 |
(185) |
|
|
617#617 |
(186) |
が得られる.
以上より, 3 次元大気の状態を
温位 1#1, エクスナー関数 2#2, 風速 3#3, 密度 16#16
で表現する場合, 基礎方程式系は以下のようになる.
- 運動方程式
-
|
|
618#618 |
(187) |
|
|
619#619 |
(188) |
|
|
620#620 |
(189) |
- 圧力方程式
-
621#621 |
19#19 |
608#608 |
|
|
|
607#607 |
|
622#622 |
|
|
(190) |
- 状態方程式
-
- 熱の式
-
- 凝結性ガスおよび凝結物の比湿の式
-
|
|
625#625 |
(193) |
|
|
626#626 |
(194) |
|
|
627#627 |
(195) |
ただし, エクスナー関数 2#2 は,
であり, 音速
629#629 は
である.
準圧縮方程式系では, 変数を基本場と擾乱場に分離し, 線形化を行う.
変数を基本場と擾乱場に分離し, 基本場は静水圧平衡にあると仮定する.
この時, 変数は以下のように書ける.
630#630 |
19#19 |
631#631 |
|
632#632 |
19#19 |
633#633 |
|
634#634 |
19#19 |
635#635 |
|
636#636 |
19#19 |
637#637 |
|
638#638 |
19#19 |
639#639 |
|
640#640 |
19#19 |
641#641 |
|
642#642 |
19#19 |
643#643 |
|
644#644 |
19#19 |
645#645 |
|
646#646 |
19#19 |
647#647 |
|
ここで基本場の風速 648#648 と雲水比湿と雨水比湿はゼロとみなした.
そして基本場には静水圧平衡
の関係が成り立つものとする.
水平方向の運動方程式を基本場と擾乱場に分離する.
650#650 |
19#19 |
651#651 |
|
|
|
652#652 |
|
653#653 |
19#19 |
654#654 |
|
|
|
655#655 |
|
上式において移流項以外の 2 次の微小項を消去し, さらに基本場は 4#4 方向に
は変化しないことを利用すると, 以下の擾乱成分の式が得られる.
650#650 |
19#19 |
656#656 |
|
|
|
657#657 |
(199) |
653#653 |
19#19 |
658#658 |
|
|
|
659#659 |
(200) |
鉛直方向の運動方程式を基本場と擾乱場に分離する.
660#660 |
19#19 |
661#661 |
|
|
|
662#662 |
|
|
|
663#663 |
|
上式において移流項以外の 2 次の微小項を消去すると以下となる.
660#660 |
19#19 |
664#664 |
|
|
|
665#665 |
|
さらに静水圧の式
を利用すると以下のようになる.
660#660 |
19#19 |
664#664 |
|
|
|
667#667 |
|
|
19#19 |
668#668 |
|
仮温位
を基本場成分と擾乱成分に分けると,
670#670 |
19#19 |
671#671 |
|
|
19#19 |
672#672 |
(203) |
673#673 |
19#19 |
674#674 |
|
|
19#19 |
675#675 |
|
|
|
676#676 |
(204) |
となるので, 浮力項は
と書き換えられる.
従って線形化された鉛直方向の運動方程式は
111#111 |
19#19 |
678#678 |
|
|
|
679#679 |
(206) |
となる.
Klemp and Wilhelmson (1978) では, 非断熱的な加熱による熱膨張と
凝結に伴う圧力変化を無視しているが, 本モデルではこれを無視しない.
pressure:theta-p:p に sphm6, sphm7 を代入する
と,
605#605 |
19#19 |
680#680 |
|
|
|
681#681 |
|
|
|
682#682 |
|
|
19#19 |
680#680 |
|
|
|
683#683 |
(207) |
となる.
pressEQ1 の左辺を線形化すると,
605#605 |
19#19 |
684#684 |
|
|
685#685 |
686#686 |
|
となる.
乱流拡散項・生成項・雲粒落下項は擾乱成分とみなすと,
圧力方程式を線形化したときの
687#687, 及び
688#688 からの寄与は基本場成分のみとなる.
従って pressEQ1 の右辺を線形化すると,
|
|
680#680 |
|
|
|
689#689 |
|
|
685#685 |
690#690 |
|
|
|
691#691 |
|
|
19#19 |
690#690 |
|
|
|
692#692 |
|
となる.
ここで
693#693,
694#694 となることを用いた.
また
である.
従って線形化された圧力方程式は
114#114 |
19#19 |
696#696 |
|
|
|
116#116 |
|
|
|
692#692 |
|
697#697 |
|
|
(208) |
と表される.
pressEQ2 の右辺第 1 項, 第 2 項をまとめると,
|
|
696#696 |
|
|
19#19 |
698#698 |
|
|
19#19 |
699#699 |
|
|
19#19 |
700#700 |
|
|
19#19 |
701#701 |
|
以上より,
114#114 |
19#19 |
701#701 |
|
|
|
116#116 |
|
|
|
692#692 |
|
702#702 |
|
|
(209) |
である.
熱の式を平均成分と擾乱成分に分離する.
703#703 |
19#19 |
704#704 |
|
|
|
705#705 |
|
ここで平均場の量は 6#6 の関数であることを用いると,
706#706 |
19#19 |
707#707 |
|
|
|
708#708 |
(210) |
となる.
凝結成分の比湿の保存式についても, 変数を平均成分と擾乱成分に分離する.
熱の式と同様に, 以下のように書ける. 但し, 生成項, 落下項は擾乱成分のみ
存在すると仮定する. この仮定は平均場では凝結は生じていないと考えることに
等しい.
153#153 |
19#19 |
709#709 |
|
|
|
710#710 |
(211) |
156#156 |
19#19 |
711#711 |
|
|
|
712#712 |
(212) |
159#159 |
19#19 |
713#713 |
|
|
|
714#714 |
(213) |
但し雲水量と雨水量は擾乱成分のみの量である.
準圧縮方程式系におけるエネルギー方程式を導出する.
bunri:moist:dudt, bunri:moist:dvdt,
bunri:moist:dwdt にそれぞれ
715#715,
716#716,
717#717 を掛けて足し合わせると
718#718 |
19#19 |
719#719 |
(214) |
となる.
但し
720#720,
721#721,
722#722 と置いた.
連続の式
より
となる.
但し
726#726 であ
ることを用いた.
AAB を用いると, AAA の右辺第 1 項は
727#727 |
19#19 |
728#728 |
|
|
19#19 |
729#729 |
(218) |
となる.
また pressEQ3 を用いて AAA の右辺第 2 項を書き換えると
730#730 |
19#19 |
731#731 |
|
|
19#19 |
732#732 |
|
|
|
733#733 |
|
|
|
734#734 |
|
|
|
735#735 |
|
|
|
736#736 |
|
|
19#19 |
737#737 |
|
|
|
738#738 |
|
|
|
739#739 |
|
|
|
735#735 |
|
|
|
740#740 |
(219) |
となる.
AAB より任意のスカラー量 741#741 について
が成り立つ.
Thermeq 及び AAE を用いて AAA の右辺第 4 項
を書き換えると,
743#743 |
19#19 |
744#744 |
|
|
19#19 |
745#745 |
|
|
19#19 |
746#746 |
|
|
19#19 |
747#747 |
|
|
|
748#748 |
|
|
19#19 |
749#749 |
|
|
|
750#750 |
|
|
|
751#751 |
(221) |
752#752 |
19#19 |
753#753 |
|
|
|
754#754 |
|
|
|
755#755 |
|
756#756 |
|
|
(222) |
757#757 |
19#19 |
758#758 |
|
|
|
759#759 |
|
|
|
760#760 |
|
761#761 |
|
|
(223) |
762#762 |
19#19 |
763#763 |
|
|
|
764#764 |
|
|
|
765#765 |
|
766#766 |
|
|
(224) |
AAC, AAD, AAF, AAF-2,
AAF-3, AAF-3A
より AAA は以下のように書き換えられる.
|
|
767#767 |
|
|
19#19 |
768#768 |
|
|
|
738#738 |
|
|
|
739#739 |
|
|
|
692#692 |
|
|
|
769#769 |
|
|
|
770#770 |
|
|
|
771#771 |
|
|
|
772#772 |
|
|
|
773#773 |
|
|
|
774#774 |
(225) |
計算領域として矩形領域を想定し, 鉛直方向の境界からの流出は無く, 水平境界
の両端では周期的であるとすると, 計算領域境界面でのフラックスはゼロとなる.
従って AAG を全計算領域にわたって積分すると,
|
|
775#775 |
|
|
19#19 |
776#776 |
|
|
|
777#777 |
|
|
|
739#739 |
|
|
|
778#778 |
|
|
|
779#779 |
|
|
|
780#780 |
|
|
|
781#781 |
|
|
|
772#772 |
|
|
|
782#782 |
|
|
|
783#783 |
(226) |
となり, 準圧縮方程式に関するエネルギー方程式が得られる.
AAH の左辺は全エネルギーの時間変化を表している.
左辺の被積分関数の第 1 項, 第 2 項, 第 3 項はそれぞれ運動エネルギー, 浮
力による位置エネルギー, 弾性エネルギー(熱エネルギー)を表す.
右辺第 1 項, 第 5 項, 第 6 項は準圧縮近似によって現れる項であり, 一般に
ゼロとなることはない.
右辺第 2 項は運動量の乱流拡散, 第 3 項は凝結, 第 4 項は非断熱加熱と乱流
拡散, 第 7 項は蒸気の勾配・雲粒落下・水蒸気拡散, 第 8 項は温位勾配・非断
熱加熱を表す.
非断熱加熱や乱流拡散や基本場の空間変化が存在しなかったとしても, 右辺がゼ
ロとなることは無い.
即ち, 準圧縮方程式では全エネルギーが保存されることはない.
準圧縮方程式系は以下のようにまとめられる.
- 運動方程式
-
650#650 |
19#19 |
656#656 |
|
|
|
784#784 |
(227) |
653#653 |
19#19 |
658#658 |
|
|
|
785#785 |
(228) |
111#111 |
19#19 |
678#678 |
|
|
|
786#786 |
|
787#787 |
|
|
(229) |
- 圧力方程式
-
114#114 |
19#19 |
115#115 |
|
|
|
117#117 |
|
|
|
118#118 |
|
788#788 |
|
|
(230) |
- 熱の式
-
706#706 |
19#19 |
789#789 |
|
|
|
790#790 |
(231) |
- 比湿の保存式
-
153#153 |
19#19 |
709#709 |
|
|
|
791#791 |
(232) |
156#156 |
19#19 |
711#711 |
|
|
|
792#792 |
(233) |
159#159 |
19#19 |
713#713 |
|
|
|
793#793 |
(234) |
- エネルギー方程式
-
|
|
775#775 |
|
|
19#19 |
776#776 |
|
|
|
777#777 |
|
|
|
739#739 |
|
|
|
778#778 |
|
|
|
779#779 |
|
|
|
780#780 |
|
|
|
781#781 |
|
|
|
772#772 |
|
|
|
782#782 |
|
|
|
794#794 |
(235) |
Footnotes
- ...
と近似される
-
TfA で行なった近似の精度については現在調査中である.
- ... であると仮定すると
-
地球大気ではこの近似が成立するとされているが, 他の惑星大気で成立するかど
うかは常に確かめる必要がある.
Yamashita Tatsuya
2010-04-28