Subsections

D. 化学物性値の計算法

1 相平衡条件

1 飽和蒸気圧

飽和蒸気圧は, Antoine の式より求める.

495#495     (165)

ここで, 496#496 は飽和蒸気圧, 313#313 は温度, 497#497 である. 498#498 は Antoine 係数である. それらの値は化学便覧改訂 4 版から得る. 化学便覧改訂 4 版では, 圧力の単位が mmHg, 温度の単位が 499#499C であ るので, 単位の換算項が付加されている.

Table D.1: 水, アンモニアの Antoine 係数
  A B C
H500#500O(l) 7.9186968 1636.909 224.92
H500#500O(s) 8.184254 1791.3 238.1
NH501#501(s) 9.96382 1617.907 272.55

任意の温度が与えられた場合, 凝縮量は飽和蒸気圧と分圧の差として見積もるこ とができる.

2 圧平衡定数

硫化アンモニウムの生成反応

311#311     (166)

の圧平衡定数は,
502#502     (167)

である. 圧平衡定数を用いることで, 任意の温度に対する アンモニアと硫化水素のモル比の積を求めることができる.

2 生成のエンタルピー変化

1 潜熱

飽和蒸気圧と潜熱はクラウジウス・クラペイロンの式,

503#503     (168)

で関係づけられる. この式を 504#504 の式としてまとめなおすことで, 潜熱は以下のように与えられる.
505#505     (169)

但し 506#506 は凝縮成分に対する気体定数である. Antoine の式を代入すると,
507#507     (170)

である.

2 反応熱

硫化アンモニウムの生成反応

508#508     (171)

において, NH509#509SH のエントロピーと NH334#334 と H335#335S の エントロピーの差が, 反応に伴うエントロピー変化に対応する.

NH509#509SH のモルエントロピーは,

510#510 52#52 511#511  
  52#52 512#512  
  52#52 513#513 (172)

である. ここで 514#514, 515#515 は NH516#516 と N517#517S の標準化学ポテンシャル, 518#518, 519#519 はそれに 対応するエントロピー, 520#520 は react_NH4SH の反応式の 圧平衡定数である. NH334#334 と H335#335S のモルエントロピーの和は,
521#521 52#52 522#522  
  52#52 523#523 (173)

react_NH4SH_left と react_NH4SH_right の差
524#524     (174)

が反応のエントロピー変化に相当する. モル当たりの反応熱は,
525#525     (175)

である. NH509#509SH 生成反応の圧平衡定数を代入すると,
526#526     (176)

である.

Yamashita Tatsuya 2010-04-28