k 分布用テーブルの作成

概要

下の手順で k 分布テーブルを作成する.

  • 対象とする大気プロファイルに対するラインバイライン計算
    • 具体的な内容

      LBL0. 作業ディレクトリの準備
      LBL1. 大気プロファイルの準備
      LBL2. 計算波数の指定
      LBL3. 気体吸収係数の計算
      LBL4. 粒子光学パラメータの計算
      LBL5. 入射放射フラックスの計算
      LBL6. 放射フラックスの計算
    • 例えば「地球大気お試し放射計算」の一通りの計算
  • バンド構造とバンド内積分点数の決定
    • LBL0 から LBL5 の結果を用いる
  • 気体の吸収係数の k 分布の作成
    • 気体の吸収係数のラインバイライン計算
      • 利用する条件 (圧力, 温度, 混合比) の範囲にわたって計算
    • 吸収係数の並べ替え
  • 用いるバンド構造に対応した粒子の平均光学パラメータの作成
    • バンドごとに光学パラメータを平均
      • LBL4 の結果を用いる
  • 気体, 粒子(, 中心星放射)の情報を 一つのファイルにまとめる
  • 作成した k 分布テーブルを用いて放射フラックス, 加熱率を計算して確認
    • LBL6 の結果と比較する

作業手順一通りの説明

ここでは作業全体を一通り説明することにする. ここでの説明は単に作業を解説するものであり, 下の説明に従っても十分な精度でのフラックス・加熱率計算が可能な k 分布テーブルができるわけではないことに注意すること.

下に示す 3 つの方法は, 上から順に, 作成される k 分布テーブルの利用条件が厳しい (限られた条件でしか使えない) が作成のための計算量が少ない. (念の為に逆向きの書き方もすると, 下の方法で作成する k 分布テーブルの方がより一般的な条件で利用できる.)

混合比固定 k 分布テーブルの作成手順

混合比可変 k 分布テーブルの作成手順 (混合比が小さい場合)

混合比可変 k 分布テーブルの作成手順 (一般的な場合)

実用に耐える k 分布計算に向けて

実用に耐える k 分布計算を実施するためには, 求める精度に合わせて適切な k 分布の条件 (バンド数, バンド内積分点数, 圧力間隔, 温度間隔, 混合比間隔) を選ぶことが必要である.

k 分布計算にはラインバイライン計算と比べて下の誤差がある.

  • (1) バンド設定による誤差
  • (2) バンド内での k 分布積分点数を少数にすることによる誤差
  • (3) k 分布の圧力依存性を離散的な圧力の値に基づく内挿で求めることによる誤差
  • (4) k 分布の温度依存性を離散的な温度の値に基づく内挿で求めることによる誤差
  • (5) k 分布の混合比依存性を離散的な混合比の値に基づく内挿で求めることによる誤差

最終的に作成される k 分布テーブルの誤差は上記の誤差の和となる. ここでは, 上の誤差要因を

  • (A) 1 & 2 による誤差
  • (B) 3 & 4 による誤差
  • (C) 5 による誤差

に分割し, 一つずつの誤差の大きさを確認しながら希望する k 分布用テーブルを作成することを考える.

具体的には下のように行うことで k 分布テーブルを作成すると良いだろう.

上の方針を採用するとして, あ, い, うの各項目において, バンド設定, 積分点数, 離散的な値を決定するための系統的な方法は見つけられておらず, 手動 (試行錯誤) で行わなければならない.