地球流体セミナー/
Workshop on Climate Modeling and Satellite Observations
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Air-sea interaction over cool oceans
International Pacific Research Center, University of Hawaii
謝 尚平
2002 年 1 月 21 日
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問題意識: インドモンスーンの開始について
- 大陸規模の海陸の熱的コントラストがある場合,
大気循環はどのような影響をうけるのか?
- モンスーン開始の力学的記述はどのようなものなのか?
- 伝統的気象屋さんからは, Chikin-Egg な解答しか得られない.
- モンスーン開始前後のインドの地上平均気温と OLR の季節進行を調べると,
地上平均気温が上昇してから 3 ヵ月程遅れて OLR
が低下(背の高い積雲の存在=降水の開始)する.
- 簡単な海陸風モデルでは降水開始の遅れをうまく説明できない.
- 海陸境界での地衡風バランスの成立とその不安定化が一つの原因
(Xie and Saito, 2000).
さまざまな大気海洋相互作用
- Bjerknes feeld : SST > 26 C 以上の領域,
赤道太平洋とインド洋の一部に存在, 深い対流にともなう
Matsuno-Gill 型の循環調節が起こりやすいと考えられている
- Wind Evaporation SST (WES) feedback
- TIW (Tropical Instability Wave)
- KOE (Kuroshio-Oyashio Extension)
SST が 26 C 以上の領域は海洋の一部の領域. それ以外の領域では
Bjerknes feeld で生ずるような深い対流は起こらないだろう.
SST があまり高くない領域における大気海洋相互作用はどのようなメカニズム
を持つか?
インド洋ダイポールモードについて
- 不安定モードではない. 減衰が小さいため外力によって励起された場
合に生き残りやすい.
- Yamagata らはインド洋の独立な大気海洋相互作用であると主張して
いる.
しかしダイポールモードの振幅が最も発達する季節での太平洋 SST
変動との相関は極めて高い.
- インド洋ダイポールモードは太平洋大気海洋結合モードと完全に独立な
モードではない, というのが世界の定説.
ENSO のメカニズム
- 基本的なメカニズムの理解はほぼ終了している.
現在は予報に向けてより詳細な部分を詰めるための研究が行われている.
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TIW (Tropical Instability Wave)
- 観測事実
- 東太平洋の赤道北側 (110W-140W, 0-5N) の領域に, SST の空間振動
(振幅3K)が観測される (TRIMM)
- 海上風ベクトル, 水蒸気量偏差にも SST の変動にともなうような
空間パターンが観察される (TRIMM マイクロ波放射計).
- 境界層の厚さは暖水域上空では 1.5 km, 冷水域上空では 500 m 以下
(ラジオゾンデ観測).
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理解
- 上空に逆転層がないと Linzen-Ningahm.
- 上空に逆転層があると ?
- GCM の計算結果は両者の混合型の循環
- 境界層内の調節機構
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メソスケールモデル用いた数値実験: MM5
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ハワイ島付近の地表風
- (上) 観測結果
- (下) 数値シミュレーション結果
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ハワイ島付近の地表風: wake はどこまで風下に及ぶか?
- (上) 数値シミュレーション結果
- (下) 観測結果
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ハワイ島付近の地表風: wake 領域の南北断面
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ストームトラックの数値シミュレーション
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参考文献
- Hashizume, Xie , Liu and Takeuchi, 2001: J. Geophys. Res.
- Hashizume et al., 2002: J. Climate
- Linzen and Ningahm :
- Xie, S.-P. and K. Saito, 2001:
Formation and variability of northerly ITCZ in a hybrid coupled
AGCM: Continental forcing and oceanic-atmospheric feedback,
J. Climate., 14, 1262-1276.
Odaka Masatsugu
2002-01-21
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