Kelvin 波

リモネンを重くする

リモネンの比重を高くして, 水の下に成層させるには, 比重の重い臭化メチレンを混ぜる. ただ, 臭化メチレンは有機溶媒の一種なので, 樹脂を侵す性質があり, 水槽としてアクリルが使えない. ガラスの水槽を使うのはそのためである.

表面張力の影響を避ける

境界面の波は, 重力を復元力とするものであり, 境界面に働く表面張力 (20dyn/cm 程度) は, 本来の波の性質を変えてしまう. しかしながら, 表面張力が大きいということは, 水と油が混ざらないことの裏返しであり, 成層を壊さないよう (混ざらないように) に回転させるためには, 表面張力から逃れることはできない. したがって, 表面張力が波に与える影響を避けるためには, ある程度の密度差を大きくとらざるを得ない.

きれいな色で撮影する

カメラの前に写真用の Y2 フィルタ (黄色のフィルタで, 480μm のショートカットフィルタ) をつけると鮮明に撮影できる.

ただし, この実験での「色」の感じ方は, 肉眼, ビデオカメラ, フィルムそれぞれに異なり, 肉眼でみるのがもっともきれいに 見える. ビデオカメラの映像は肉眼とは色合いが異なるものの, 比較的鮮明に撮れる. 写真撮影がもっとも難しい.

リモネンと臭化メチレンの混合液が白濁する場合があるが, 温度を上げれば透明に戻る. 理由は不明. 2枚の偏光板の間に光を散乱させるものが入ると, その部分に白い「しみ」が現れる. 綿ぼこりはかなり目立つので注意が必要.