鉛直一次元放射計算 2

モデルを簡単に解説し, 大気構造の変更方法を説明する.

計算条件の変更

モデルで放射フラックスを計算する条件は下の手順で設定する.

  • 鉛直層の設定
  • 入射放射フラックスと惑星表面アルベドの設定
  • 大気構造の設定

上記は src/main/rad1d_main.f90 内の subroutine Rad1DMainInit の下の部分で設定する.

鉛直層の設定

鉛直層と変数の配置

モデルの鉛直層と変数配置は下のようになっている. 以下では, 鉛直層数と鉛直層境界面を設定する. 鉛直層中心面は鉛直層境界面から生成される.

=== 層境界面 [r 点]
--- 層中心面 [z 点]

モデル上端 ===================== r_Press(kmax)

           ---------------------                  z_Press(kmax)

           ===================== r_Press(kmax-1)

           ...

           =====================

           ---------------------                  z_Press(2)

           ===================== r_Press(1)

           ---------------------                  z_Press(1)

惑星表面   ===================== r_Press(0)=Ps

鉛直層数の設定

まず鉛直層数を下の部分で設定する.

!= 格子点数設定
!
! 鉛直層数 [z 点の数; r 点の数は +1]
kmax_set = 20
call GridSetInit( kmax_set )

鉛直層境界面の設定

次に鉛直層境界面を下の部分で設定する.

! 惑星表面圧力
!
Ps = 1.0d5

! 鉛直層境界面
!
r_Press(0) = Ps
do k = 1, kmax
  r_Press(k) = r_Press(k-1) * exp( - 0.2d0 )
end do

上の例では, 層の厚さは 1/5 = 0.2 スケールハイトである.

それぞれの変数は下の意味である.

  • Ps : 惑星表面圧力 (Pa)
  • r_Press : 鉛直層境界面の圧力 (Pa)
    • なお, z_Press は鉛直層中心面の圧力 (Pa) である.

入射放射フラックスと惑星表面アルベドの設定

下の部分で設定する.

! 太陽放射フラックス, アルベドの設定
!
SolarConst = 1360.0d0
CosSZA     = cos( 30.0d0*PI/180.0d0 )
SurfAlbedo = 0.2d0

それぞれの変数は下の意味である.

  • SolarConst : 大気上端における入射放射フラックス (W m-2)
  • CosSZA : 太陽天頂角の余弦 (1)
  • SurfAlbedo : 惑星表面アルベド (1)

大気構造の設定

下の部分で設定する.

! 大気構造
!   Case 5 of Ellingson et al. (1991) (E91)
!     Ellingson et al. (1991), JGR, 96, 8929.
!   Case 5 : Isothermal atmosphere 300 K, CO2 only 300 ppmv
!
SurfTemp   = 300.0d0
z_Temp     = 300.0d0
z_QH2OVap  = 0.0d0
z_QO3      = 0.0d0   * 48.0d-3/28.0d-3

! Values at 2000 in CMIP5 recommendation, PRE2005_MIDYR_CONC.DAT
! CO2 :  369.0d-6
! N2O :  316.0d-9
! CH4 : 1751.0d-9
z_QCO2     = 300.0d-6 * 44.0d-3/28.0d-3
z_QN2O     =   0.0d0  * 44.0d-3/28.0d-3
z_QCH4     =   0.0d0  * 16.0d-3/28.0d-3

各変数は下のような意味である.

  • SurfTemp : 惑星表面温度 (K)
  • z_Temp : 大気温度 (鉛直層中心面 (z 点) の温度) (K)
  • z_QH2OVap : 比湿 (1)
  • z_QO3 : O3 (質量)混合比 (O3 の密度/大気の密度) (1)
  • z_QCO2 : CO2 (質量)混合比 (CO2 の密度/大気の密度) (1)
  • z_QN2O : N2O (質量)混合比 (N2O の密度/大気の密度) (1)
  • z_QCH4 : CH4 (質量)混合比 (CH4 の密度/大気の密度) (1)

計算条件を変更した実験

上記の情報を元に, 大気構造を変更して放射フラックスを計算してみると良い.