2023 年度 組込システム (J5)

はじめに

本科目では ESP32 マイコンを用いて以下を目的とした演習を行う.

  • 比較的低級な C 言語から, 高級言語 (python, ruby) までの各種言語を用いたプログラミングを修得する.
    • ESP32 の公式な開発環境は C 言語.
  • 高級言語でのマイコンプログラミングの実際を理解する.
    • 呼び出し元の言語に応じたラッパーを作成し, ラッパーを経由して C 言語ライブラリを使用する.
  • マイコン周辺機器 (peripheral) のデータシートを (多少なりとも) 読み, それをプログラミングできるようになる.

解説

教材

教育ボード

本ドキュメントでは ESP32 マイコンを搭載した教育ボードを対象とする.


パーツPin など
LEDGPIO13, 12, 14, 27, 26, 25, 33, 32
スイッチGPIO34, 35, 18, 19
サーミスタ温度計GPIO39 (ADC1_CH3)
圧電ブザーGPIO15
GPS (GYSFDMAXB)GPIO16 (TX), GPIO17 (RX) (電源 GPIO5)
LCD (AQM0802A-RN-GBW)I2C (SDA: GPIO21, SCL: GPIO22, アドレス: 0x3E)
RTC (RC-8035SA)I2C (SDA: GPIO21, SCL: GPIO22, アドレス: 0x32) (電源 GPIO4)
SD cardSPI (MOSI: GPIO23, MISO: GPIO19, SCK: GPIO18, CS: GPIO2)
SHT75COM1: GPIO25,26, COM2: GPIO32,33 [LED と共有]

2 代目以降の基板は GPS と RTC の電源を切れるようになっている. GPS と RTC の電源を入れる時は以下のような命令が必要となる.

# GPS の電源を入れる                                                                                       
gps_pw = GPIO.new(5, GPIO::OUT)
gps_pw.write(0)
sleep 1

# RTC の電源を入れる
gps_pw = GPIO.new(4, GPIO::OUT)
gps_pw.write(0)
sleep 1

USB-Linux

USB ブートの Linux (Debian 11) を利用する. 演習ではイメージファイル (<URL:j5_es2023.img> 29GB) の書き込まれた USB メモリ (SanDisk SDCZ73-032G-G46 [32GB]) を用いる.

USB メモリから Linux をブートするためには, 利用する PC の BIOS で以下を設定を行う必要がある.

  • BIOS のタイプ: UEFI (legacy では起動しない)
  • SecureBoot: 無効
  • Boot: USB メモリの優先順位を上げる.

ログインするための情報は以下の通りである.

  • user, live

演習

各種開発環境を用いたプログラミングの基礎

[1] mruby/c



[2] MicroPython


[3] Arduino IDE + ESP32ボードマネージャ


[4] ESP-IDF 環境 + C 言語

mruby/c で IoT (1)

課題:定期的に GPS による位置計測を行い,結果を地図上にプロットせよ. wifi に接続できる場所 (演習室) に戻ってから蓄積した位置データをサーバへ送信すること.

mruby/c で IoT (2)

課題:温度の計測を行い,その結果を1分間隔 (毎 0 秒) でサーバに送信するプログラムを作成せよ.

mruby/c でクラス定義 (C と Ruby の連携)

I2C センサのデータシートを読む

演習の進め方.

  • 数名でチームを組み,利用するセンサを選ぶ.選択後,試しに Arduino からセンサを使ってみよ.
  • mruby/c のサンプルコードを読み,それぞれのメソッド (or 各行) とデータシートの内容とを対応づけする.(注: サンプルコードにバグが含まれている可能性あり.全ての機能が実装されているわけでない.また,昨年度と今年度で I2C のメソッドが変更されていることに注意).
  • 対応づけができたら,プログラムに註釈を入れ,データシートからプログラム作成に必要な部分を抜き出す.必要に応じてデバッグ・機能追加すること.
  • mruby/c のセンサ用ソースコードを用いて,実際にセンサを動かしてみる.
  • mruby/c のコードを GitHub に commit する.
  • チーム毎に,理解したこと/デバッグ・機能追加の結果,を発表する.

資料:

[参考] mruby/c

[参考] 教材準備

ブート可能な USB-Linux のセットアップや, 各開発環境のセットアップ方法を以下にまとめる.

演習で使う Live-USB の img ファイルは <URL:j5_es2022.img> (29GB) である. これを USB に焼き, しかるべく PC の bios (UEFI) を設定すれば演習環境を再現できる. なお, img ファイルを USB メモリに焼くには Linux の dd コマンドや Etcher など使うと良い.

謝辞