本計算では元素量保存の条件の下でギブス自由エネルギーが最小となる 大気組成を計算する. 計算を始める際には, 系に存在する化学種のモル数を 元素量保存の条件を満足するように適当に与えねばならない.
凝縮相に元素の 1/10, 1/100 づつ割り当てた場合の計算結果を以下に示す. これをみてわかるように, なぜか 1/100 を割り当てた方が 1/10 を割り当て たものよりも出力結果が妥当である. この状態は溶液を考慮する場合に現れる ことが多い.
計算のログを見ると, 存在すべき溶液の存在量が減り溶液が系から取り除かれ, 残った固相は気相と平衡できずに系から取り除かれ, 最終的に気相しか系に残 られない様子が見て取れる.
(2003-06-22 追記)
この問題は, 行列の非正則性の回避方法の不備による ものと解釈できる. かって行列が非正則になった場合最も値の小さい行, す なわち最もギブス自由エネルギーの小さな化学種(相)を削除することにしてい た. それぞれの化学種のギブス自由エネルギーは化学ポテンシャルにモル数 を乗じたものなので, 最初に与えるモル数が小さいもしくは化学ポテンシャル の値が小さいと, 当該温度圧力条件では存在可能な化学種であるにもかかわら ず, 非正則の原因となる化学種として系から削除されてしまうからである.
元素の 1/10 を凝縮相に | 元素の 1/100 を凝縮相に |
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