: D. 変数リスト
: 湿潤大気における 2 次元非静力学モデルの定式化
: B. 乱流パラメタリゼーション
Kessler(1969) の雲微物理パラメタリゼーションの, 雲水の衝突併合による雨水
混合比の変化率
, 平均終端速度
, 蒸発による雨水混合比
の変化率
について解説する
C.1.
雲水の衝突併合による雨水混合比の変化率
は, 直径
の単一の
雨粒の衝突併合による質量変化率
と
から
の
範囲の直径を持つ雨粒の数
を用いて
 |
(C.1) |
と表される.
は,
 |
(C.2) |
と表される. ここで
は雨粒の落下速度,
は雨粒と衝突した雲粒
のうち雨粒に併合される割合を表す係数(捕捉係数)である.
雨粒のサイズ分布関数と雨粒の落下速度
を以下のように仮定する
C.2.
ここで
はパラメータである. 式(
)の分布は一般にマーシャル・パルマー型分布 (Marshall
and Palmer, 1948) と呼ばれる. Kessler (1969) では
とする.
これを式(C.1)に代入すると,
を得る. ここで
は
によらないと仮定した.
Kessler (1969) では
とする.
雨粒のサイズ分布曲線の傾きを表すパラメータ
は, 以下の式を用
いて雨水混合比
で置き換える.
ここで
は水の密度 (
kg/m
) である.
これを
について解き, 式(C.7)に代入すると,
となる. 最後の式変形では,
を代入した.
平均終端速度
は雨滴の鉛直フラックス
, 雨滴密度
により
 |
|
|
(C.10) |
と表される.
,
はそれぞれ以下のように表される.
ここで
は直径
の雨滴の質量であり,
 |
|
|
(C.13) |
と書ける.
(C.4), (
), (C.13) を (C.11), (C.12) に
適用すると,
となる.
(C.14) を (C.15) に代入して
を消去すると,
となる.
(C.10) に (C.16) を代入すると
が得られる.
蒸発による雨水混合比の変化率
は, 式(
) と同様に
 |
(C.18) |
と表される. ここで
は直径
の単一の雨粒の蒸発によ
る質量変化率である.
雨水の蒸発は雨粒の表面からの水蒸気の拡散によって律速されると仮定する.
雨粒周囲の水蒸気フラックスを
とすると, 雨粒の質量の変化率は
 |
(C.19) |
と表される. ここで
は雨粒中心からの距離,
は雨粒の半径で,
は
と表される.
は水蒸気の密度,
は水蒸気の拡散係数であ
る. 雨粒の周囲では水蒸気フラックスの収束発散はないと仮定すると,
が成り立つ. これを積分し
境界条件
で
,
で
を適用すると,
これより, 雨粒表面での拡散による水蒸気フラックスは
よって,
 |
(C.21) |
と表される. 雨粒が落下しながら蒸発する場合には,
に補正項のついた
 |
(C.22) |
が用いられる. ここで
は換気因子,
は雨粒表面でのクヌーセン層の
厚さであるC.3.
Kessler (1969) では, (C.22)の右辺の項を
以下のように近似する.
このとき(C.22)は
 |
(C.23) |
となる. これを式(C.18)に代入し,
雨粒のサイズ分布として(C.4)を
仮定すると,
最後の式変形を行う際には(C.8)式の関係を用いて
を消去し,
,
とした
C.4.
- ... について解説するC.1
- 本章の内容は Ogura and Takahashi (1971), 浅井 (1983) を参考に
した.
- ... を以下のように仮定するC.2
-
Kessler(1969), Wilhelmson and Ogura(1972) では雨粒の落下速度を以下のよう
に仮定している.
但し
は地表面での大気密度である.
一方 Ogura and Takahashi(1971), Yamasaki(1975), Nakajima and
Matsuno(1988) では (C.5) を用いている.
(C.5) は (C.3) において
密度に関するスケールハイトが十分大きいとみなした式と考えることができる.
- ...
厚さであるC.3
- この式の導出は要確認.
- ... としたC.4
- Kessler (1969) では最終的には
としている.
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: B. 乱流パラメタリゼーション
Yamashita Tatsuya
平成21年10月2日